戸建てやマンション、土地などの不動産を売却したい時は「正しい相場」を調べて理解しておくことで適正価格で売却ができます。
今回は不動産相場の調べ方について様々な方法を紹介していくとともに、相場に影響する要素や注意点も解説していきます。
不動産相場を知っておくべき理由
不動産を売却する際は一般的には不動産会社など仲介業者に頼むため、自分で相場を知っておく必要はないと思うかも知れません。
しかし、売却価格を最終的に決定するのは自分自身なので、相場を理解しておくことで販売価格に納得ができます。
予め不動産の適正価格を知っておくことで、査定に出したときに信頼できる不動産を見つける判断材料にもなるでしょう。
相場を知っておくことで不動産会社の意見が理解でき、よりスムーズに売却活動を進めることができます。
不動産相場の調べ方

不動産相場を自分で調べる方法は以下の5パターンがあります。
- レインズマーケットインフォメーションを利用する
- 不動産情報ライブラリ(旧 土地総合情報システム)を利用する
- 路線価図
- 不動産ポータルサイトを利用する
- 不動産一括査定サービスを利用する
上記の調べ方についてここから詳しく解説をしていきます。
レインズマーケットインフォメーション(REINS Market Information)を利用する
レインズマーケットインフォメーションは国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理をしている不動産流通標準情報システムです。
全国で実際に売買が行われた物件の価格を検索することができる不動産情報提供サイトとなります。
レインズマーケットインフォメーションでは主に以下の情報を入手できます。
- 不動産の価格相場
- 市場の動向
- 不動産の売買・成約情報
利用は無料で、自身が保有する物件の価値が知りたい時に周辺地域の成約情報を調べられるため相場感が把握できるでしょう。
不動産情報ライブラリ(旧 土地総合情報システム)を利用する
不動産情報ライブラリは国土交通省が提供する無料のサービスで、不動産の価格情報や周辺施設情報などを地図上に表示してくれています。
令和6年3月までは土地総合情報システムという名前でしたが令和6年4月から不動産情報ライブラリに改名されました。
マンション、戸建て、土地の不動産取引価格や成約情報を確認することができます。
レインズマーケットインフォメーションでは戸建てとマンションしか調べられませんが、不動産情報ライブラリは土地情報も閲覧できるのが特徴です。
また、情報量も不動産情報ライブラリは充実しています。
路線価図
路線価図とは道路の価値を表したデータです。
こちらを使うことで道路に接している土地価格を調べることができます。
路線価図は一般財団法人 資産評価システム研究センターが運営する全国地価マップを利用すると、「固定資産税路線価」「相続税路線価」「地価公示・地価調査」の検索が可能です。
固定資産税路線価は、路線(道路)に面した宅地1平方メートル当たりの価格のことで、価格の7割が目安となります。
相続税路線価は、相続税評価において用いられるその道路に面する宅地の価格のことで、価格の約8割が目安となります。
不動産ポータルサイトを利用する
不動産ポータルサイトとは不動産の情報を多く掲載しているサイトのことで、SUUMOやアットホームなどを指し、不動産ポータルサイトを利用すると物件の売り出し価格から不動産相場を調べられます。
自分が保有する物件と広さや間取りなど同じような条件の物件が周辺エリア内でいくらで販売されているのかわかります。
ただし、掲載されている情報は販売価格であり成約価格ではないため、この点は注意が必要です。
また、いつから掲載されているかがわからないことが多く、長く売り出していれば値下げをしている可能性があるため価格は参考程度に留めておくと良いでしょう。
不動産一括査定サービスを利用する
不動産一括査定サービスは、複数の不動産会社に査定を一括で依頼できるサービスで、複数社から査定結果を比較できるため相場感がわかりやすいです。
レインズマーケットインフォメーションや土地総合情報システムを利用し、ある程度の相場感を自分で調べた上で査定結果と比較すると適正価格で査定を出してくれている不動産会社もわかります。
不動産一括査定サービスのおすすめは以下の記事に詳しくまとめています。

不動産の売却相場に影響する要素

築年数
築浅ほど建物の価値は高くなり、古くなればなるほど建物の価値は下落していきます。
木造の一戸建ての場合築10年経つと価値は購入時の約半分程度まで下がりますし、マンションの場合はさらに下落率が大きく、7~8割程度まで下がると言われています。
また、建物には「法定耐用年数」が設定されており、木造住宅は22年、鉄骨鉄筋コンクリートのマンションは47年でして、この期間を超過しても資産価値がなくなるわけではありませんが、売却は厳しくなるでしょう。
立地、周辺環境
不動産の売却相場は建物だけでなく、立地や周辺環境によっても左右されます。
「生活利便施設(スーパーや薬局)」が近くにあることや、「駅が近い」こと、「騒音がない」ことなどの好条件であれば高額査定に期待が持てます。
その他にも、都心部に近いことも好立地の条件の1つです。
さらに、近隣に大型商業施設などが建造される場合周辺エリアの資産価値が向上します。
修繕履歴
築古物件は特に修繕履歴が重要視されます。
建物の修繕や水道など設備のメンテナンスを定期的にしておくと建物の維持ができて長持ちするため、高値で売却できる可能性も高く買い手側も購入を前向きに検討しやすいです。
さらに、修繕だけでなく大規模なリノベーションを行っている場合、建物の価値は大きく向上します。
一方、長い間修繕がされていない物件は購入後に修繕をする必要があるため建物の売却額も下がります。
周辺の取引価格
周辺の取引価格もそのエリアの相場に影響を及ぼす要素の1つです。
周辺物件の価値が高ければそのエリアは需要があるということがわかり、自分が保有する物件も高値で売れる可能性があるでしょう。
一方、周辺物件の価値が低い場合に売却価格を高く設定しすぎると売れ残ってしまう可能性も高くなります。
間取りや家の広さが同じ物件があってもエリアで取引価格は異なることを覚えておきましょう。
社会情勢
経済状況や金利、人口推移などの社会情勢も不動産の相場に影響を与える要素の1つです。
国内だけでなく世界の情勢が大きく影響を及ぼし、資源の供給不足による資材の高騰が起こると建築にかかるコストも大きくなります。
不動産を売却する際には社会の動向を観察し、市場の分析を心掛けましょう。
不動産の相場に関する注意点
売り出し価格と成約価格は別物
売り出し価格は不動産会社と売主が話し合い提示する価格で、成約価格は不動産売買の契約時の金額です。
売り出し価格を見た買い手側が金額交渉をすることはよくあります。
そのため、不動産ポータルサイトなどで調べたときに表示される売り出し価格と実際の成約価格には差がでる可能性があることを覚えておきましょう。
類似物件の情報は参考程度に留めておく
自分が保有する不動産の相場を調べる場合、類似している不動産を調べることである程度価格の指標になります。
ただし、築年数や間取り、周辺環境などを含めて全く同じ条件の不動産はありません。
実際に売却しようと思い不動産会社に査定依頼をしたら思っていたよりも査定額が低いこともありますが、それは類似物件と比べて何かしら不利になる条件があるからです。
類似物件の情報は参考程度に留めておき、不動産会社の意見も咀嚼して売却活動に臨みましょう。
不動産会社によって査定価格は異なる
不動産の価値を調べたり売却を希望する人は不動産会社に一括査定を依頼しますが、同じ物件の査定でも業者によって査定金額に差がでることがあります。
何故差がでるのかというと、大きな理由として「不動産会社毎にマニュアルが違うから」です。
基本的には家の立地条件や状態など様々な項目が用意されており細かく数値化をして評価をし、適正な査定額が算出されるようになっていますが、その数値と過去の取引事例を参照して査定額が決定されます。
過去の取引事例は不動産会社によって異なるため、査定額にも差が生まれます。
そのため、より実績が多い不動産会社ほど正確性があり安心して任せられるでしょう。
もう1つの理由は、「不動産会社の戦略」によるものです。
不動産会社に一括査定をした際に他の会社より査定金額が高い結果を提示してくるところがありますが、これは他の不動産会社より高額に設定することで興味を引き、契約をさせてしまおうという戦略です。
適正価格ではないため売却は困難で結果的にずるずると値下げをせざるを得ない状況になります。
ただ、高額査定を提示した理由が納得のいく根拠がある可能性があるため、自分で調べた相場感と合わせて冷静に判断したいところです。
まとめ
この記事では不動産の相場の調べ方を紹介してきました。
自分で不動産の相場を調べる時に利用するサービスは以下の5つです。
- レインズマーケットインフォメーション
- 不動産情報ライブラリ(旧 土地総合情報システム)
- 路線価図
- 不動産ポータルサイト
- 不動産一括査定サービス
不動産の相場感を把握しておくことで、適正価格がわかり売却活動もスムーズになります。
正しく不動産の価値を認識して売却活動を進めていきましょう。
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